ISO20121:イベントサステナビリティ認証
持続可能なイベント運営のために
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1.ISO20121発行の背景

世界の様々な場所で大小のイベントが日々開催されています。それらのイベントは大規模になればなるほど、環境負荷も高まります。例えばオリンピック・パラリンピック、ワールドカップや様々なカンファレンスなどを思い浮かべて下さい。これらのイベントは市民や参加者をはじめとするステークホルダーからコスト面だけでなく、イベント全体の持続可能性が問われるようになってきました。例えば温室効果ガスの排出量、廃棄物、リサイクル、周辺環境への影響、モビリティーの形態、長期の社会的、経済的、及び環境的影響など様々な要素の分析及び管理がイベントマネジメントでは必要になります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックではISO20121に基づくマネジメントシステムが採用される可能性が非常に高いと考えられています。
イベントサステナビリティのマネジメントシステム規格ISO20121は、2007年に発行されたBS8901(Specification for a Sustainability Management System for Events)を基に、2012年6月15日にISO化されました。規格化にあたり、オブザーバーを含め35カ国の代表がISO / PC250というワーキング委員会で作成を進めました。その委員会ではイギリスとブラジルが委員長を務め、イベント業界からエキスパートやステークホルダーグループなど8団体が参加しました。第三者認証とすることにより客観的な事実に基づいた評価を可能にしています。
2.認証対象

「イベント運営会社などマネジメントシステムを運用する組織への認証」、「特定のイベントの設計・計画への認証」という2種に大別されます。
(1) イベント運営会社などマネジメントシステムを運用する組織への認証
業界や規模の大小に関わらず、イベント運営に関わるあらゆる組織が対象となります。
● イベント主催者
● イベント会場(ホテル、会議場、体育館)
● サプライヤー
● 協会・団体
● コンサルティング会社 など
例:マンチェスターユナイテッド
持続可能なマネジメントシステムを3年毎に認証します。
(a) 初期審査(第1段階審査)
(b) 本審査(第2段階審査)
(c) 認証書発行
(d) 維持審査(2年目)
(e) 維持審査(3年目)
(2) 特定のイベントの設計・計画への認証
特定のイベントに対する認証を実施します。
(会議、コンサート、フェスティバル、展示会、競技会などあらゆるイベントが対象となります。)
(a) 初期審査(第1段階審査)
(b) 本審査(第2段階審査)
(c) 認証書発行
この認証により、イベント準備段階・イベント期間中・イベント終了後の持続可能性に関する取り組みを内外に幅広くPRすることができます。
3.ISO20121認証取得のメリット

● イベントの持続可能なマネジメントを促進
● 市民・利害関係者へ対しイベントの持続可能性証明・アピール
● イベントマネジメントのグローバルプロセスを改善・洗練
● ステークホルダーの期待に呼応する、包括的かつ有意義なアプローチ
● 持続可能性を理解する人材の養成
4.ISO20121の章立て

他のISO規格との整合性を図るべく上位構造は共通です。またPDCAサイクルの考えも健在です。
章 |
項目 |
PDCA |
1 適用範囲 |
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2 引用規格 |
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3 用語及び定義 |
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4 組織の状況 |
4.1 組織及びその状況の理解 |
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4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 |
PLAN |
4.3 イベントサステナビリティマネジメントシステムの適用範囲の決定 |
4.4 イベントサステナビリティマネジメントシステム |
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4.5 持続可能な発展原則、目的と価値の宣言 |
PLAN |
5 リーダーシップ |
5.1 リーダーシップ及びコミットメント |
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5.2 方針 |
PLAN |
5.3 組織の役割、責任及び権限 |
6 計画 |
6.1 リスク及び機会への取り組み |
6.2 イベントサステナビリティの目的及びそれを達成する為の計画 |
7 支援 |
7.1 資源 |
DO |
7.2 力量 |
7.3 認識 |
7.4 コミュニケーション |
7.5 文書化された情報 |
8 運用 |
8.1 運用の計画及び管理 |
8.2 変更された活動、製品、サービス |
8.3 サプライチェーンマネジメント |
9 パフォーマンス評価 |
9.1 持続可能な発展原則に対するパフォーマンス |
CHECK |
9.2 監視、測定、分析及び評価 |
9.3 内部監査 |
9.4 マネジメントレビュー |
10 改善 |
10.1 不適合及び是正処置 |
ACT |
10.2 継続的改善 |
5.ビューローベリタスの実績例

既に認証実績がありますが、全世界の注目を集めたのは、2015年12月に開催されたCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)の事務総局に対するISO20121認証です。国と国連による会議がISO20121認証を取得する事例は世界初となります。
授与式では、フランスのエコロジー・持続可能開発・エネルギー大臣 Ségolène Royal 氏が立ち会う中、COP21のチーフオーガナイザー Pierre-Henri Guignard 氏が、ビューローベリタス・フランスのディレクター Jacques Matillon より認証書を受け取りました。
認証対象となった、COP21の「持続可能な発展に関する方針」には、以下の取り組みが含まれています。
(1) 上質なホスピタリティを保証する(ケータリング、交通、執務室)
(2) 責任あるイノベーションを促進する
(3) エコロジカル・フットプリントに制限を設ける(循環型経済の促進、イベントのカーボンニュートラル化)
(4) 開催地(フランス・パリ)の地域社会、今後COP会議を主催する組織、及びフランスで将来開催される国内・国際イベントの主催組織に向けて、好ましい参照事例となる
認証審査は、「組織と計画」、「準備」、「イベントの良好な進捗、及び経験のフィードバック」という3つの基準に焦点を合わせ、所定手順に則り実施されました。今後も大小の様々なイベントに対し認証が実施されることが期待されます。
システム認証事業本部 川手洋明
【お問い合わせ】 |
ビューローベリタスジャパン(株) システム認証事業本部 営業部 TEL:045-651-4785 |
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